FC2ブログ
 
 

無慈悲なくーなな

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

拍手、頂けましたらとても励みになります♡byくーなな⇒ 
*    *    *

Information

□ 短編 □

無意識の策略

とある場所に置いていた久遠の独白の短編です。
もう何回も飽きるくらい見たよーって方はすみません。
いい加減その他諸々の続きもupできるように頑張ります(;▼;)


33137980152_ca8f5807ac_z.jpg
Restless Night / Edna Winti


「…――…」

そう恋人が隣で漏らした言葉の一声で、久遠は不意に明け方に目覚めた。

…七王さん?

久遠は自身の腕の中にいる隣の恋人をまじまじと見やった。
見た所、いつも憂いを含んで艶めかしい夜闇のような瞳は閉じられて、今はすっかり幕を閉ざしている。
耳をすませば安らかな寝息も小さく聞こえてくるし、形よく閉じられた口は、もちろん言葉を紡ぐことなどなかった。

本当にこの人は今しがた聞いた言葉を発したのだろうか?たんなる自分の聞き間違いでは…?
久遠がそう思うほど、目の前の七王はすっぽりと眠りのベールを纏っていた。


「……足りない……」

今度もまた、不意にそう聞こえた。

「…七王さん…?」

――何が足りないと言うのか?

「もっと、相川が欲しい…」
「…――ッ、」

その一言を聞いただけで、心臓がドクンと音を立ててはねる。
他の誰でもない、七王さんに求められていると分かっただけで、途端に身体の熱が上昇し始めた。
起きている時に言われるのではなく、寝ている時に無意識に腕の中でぽつりとそんなことを漏らされるとは、思いもよらなかった。

「遠慮しなくていい、いつでも俺にだけは正直にアンタの心を告げて欲しい」と、常日頃から半ば言い聞かせるように七王さんにこんこんと言っているものの、まだまだ遠慮なく全部、という領域には至っていないのが現実だ。
それを、こんな不意打ちの形で本音をぽろりと漏らされるとは、思わぬ一撃だった。

たまらない…と、正直思った。

七王さんが起きているならば、今すぐにでもそんな可愛いことを漏らす唇を塞ぎ、全てを暴いて奪い尽くしたい。
…そう、その瞼が開き、美しい夜の全てを湛えたような黒い瞳が一瞬でも見えさえすればそうしたい。今すぐにでも。
だが、俺の腕の中で安心して眠る彼の姿は一向にその気配を見せず、すやすやと健やかな愛らしい寝息を奏でるばかりだった。

…何て、罪深い人だ…。

七王さんの傍に居ると数えきれないほど思うその事を、また今夜も俺は思う。俺をその気にさせておいて、本当にズルい人だ…と。

おそらく、七王さんの深層心理をあらわしたのだろうその一言が、俺自身をひどく刺激してやまなかった。
七王さんの一歩引く癖が、こんな形で示されるとは少々複雑だ。

どうせなら、意識のある時に恐れることなく俺の目を見て言って欲しかった。何も不安を感じる事もなく、真っ直ぐに俺に向かって…。

しかし残念ながら今の七王さんにとってそうするには、まだハードルがあるのだろう。
「俺に拒否されたら怖い」という感情が未だ根強く心に鎮座しているのだ。
決してそんなことはないというのに。

俺の事をもっと信用して欲しい。
俺の七王さんに対するこの執着心がどんなに底深くて、自身でも手に負えないくらいの強さなのを、もっと知って欲しい。
アンタは俺の気持ちを、その強さをまだ全然分かっていなんだ…。そう、ほんの片鱗しか…。

不安に溺れることなく、俺を見て欲しい。余計な事に惑わされず、俺だけに溺れて欲しいのだ。
アンタに一歩引いて臆病になることなど何もないのだと、思いの限り知らしめたい…。

「…………」

そう思っていると抱き締める腕に、徐々に力がこもる。
そうすると七王さんは増々密着して、俺とぴたりと合わさり、身じろぎもの余地もなくなった。

がんじがらめとはこのことか、とふと思う。

適度な距離など、俺には必要ない。七王さんに対する余裕も、そして時に彼の自由も俺には不可欠ではないのだ。

「…七王さん…」

俺は愛しい彼のつむじに1つキスを贈り、熱を込めて1人ごちて呟く。

「…早く俺でアンタをいっぱいにしたい…」

その瞳が、俺をうつす時が待ち遠しい。

待ち侘びて俺がどうにかなる前に、七王さんにこの熱を伝えたかった。


――今少し、夜が明けるのを待つことにした。


無意識の策略
(そんなアンタに、どうしようもなく惹かれて翻弄される)

タイトルなし
タイトルなし / Kev Herrera


Fin
関連記事

拍手、頂けましたらとても励みになります♡byくーなな⇒ 
*    *    *

Information



【商業BLコミックランキング】
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。