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無慈悲なくーなな

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□ 短編 □

花は綻ぶ

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Water Lily / Nymphaea / 睡蓮(スイレン) / TANAKA Juuyoh (田中十洋)

「ほら、睡蓮が咲いてるぞ、相川」

七王さんの一言で、俺はそれを視覚に捉えた。

「このちょうど暑くなってきた時期にこういう水の中に咲く花は見てるだけで涼しげで良いよなー」
「…ええ、そうですね」

見ると葉はまぁるく綺麗に水の上に開いて浮かび、花は水中よりすっきりと茎を伸ばし美しく咲き誇っていた。むろん花はほとんとが、有名な絵画の「モネの庭」のように水に浮かび上がっている。

水の揺らめきが相まって、花がより美しく映える…。
他よりも特別に見えるのは相乗効果なのだろうか。それとも花自身が持つ美しさ故なのだろうか。
いずれにしても人目を惹く花なのは、間違いない。

「…相川…」

前を歩いていた七王さんは俺だけに見せる笑顔を浮かべ、綺麗に微笑む。
そうするとそれだけで、周囲にいた人達の目が七王さんに集中するのを感じた。

内心、チリっとした少しの苛立ちを感じる。
七王さんといると、それこそ数えきれないくらい覚えた気持ちだ。慣れるつもりもないし、割り切るつもりもない。きっといつまでも俺の心を波立たせるのだろう。

…だからこそ、煽られる。
増々七王さんを独占したくなる。

「…あ、おいっ!相川…!?」

即座に俺は周囲の視線を振り切るかのように、七王さんの腕を掴みずんずんとその場から引っ張っていった。

俺だけの花は、俺だけが見ればいい。
…その美しさは、俺だけが知っていればいいのだ。
他の奴らは見なくてもいい。

だがその美しさ故に、七王さんはどうしても人を惹きつけずにはいられない存在なのだ。
俺の傍にいれて嬉しいと、幸せなのだと七王さんが無意識に表す。
その度、本来の美しさに加えて、彼の輝きが増していく。

…不本意な事だが、いつのまにか俺自身が七王さんの美しさを周囲に知らしめる、相乗効果の役割を担ってしまっている。
俺がそんな七王さんをひき出した事が嬉しいのはもちろんだ。
しかしやはり悔しい。誰にも見せたくない。

…とどのつまり、結局は監禁するしかないのだろうか?この人を。

「…帰りましょう、七王さん」

そうだ、閉じ込めるしかない。

「えー!せっかく来たばっかりなのにかよ!?」

七王さんのクレームをよそに、俺は一刻も早く人のいない所へ行き、この花を腕の中で堪能しようと1人決めていた。

…そう、本当の意味で花が艶やかに咲くのは、俺だけが知っている。
これからじっくりと色付くように艶目かしく咲かせ、俺だけをうつすその黒の湖面を揺らめかせ、濡らすのだ…。

「もー、はえぇって、相川。もっとゆっくり歩いてくれよな。身長分、足のコンパスが違うんだぜ…!」


ぶつぶつそう言う七王の声を聴き、久遠はこれからその音階を心ゆくまで変化させる事を楽しみに、帰路を急ぐのだった。


花は綻ぶ(その瞬間、俺は確実にアンタを捕まえる)


Fin

water lily leaves
water lily leaves / Crystalline Radical
しばらく書いていなかったので、リハビリで久しぶりに書いてみました!お粗末さまでした
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