FC2ブログ
 
 

無慈悲なくーなな

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

拍手、頂けましたらとても励みになります♡byくーなな⇒ 
*    *    *

Information

□ 短編 □

私だけに染まる人【R18】

※以下、R18です。ご注意下さい。
2015y09m09d_011351984.jpg



~私だけに染まる人~


「…っ、あーやられたー…」
朝起きて開口一番、隣の七王さんがそう言った。
「…どうかしたんですか?」
「いやー…これ。昨日うっかり油断してた。そのまま寝ちまったから見事にやられちまったよ」

不思議に思い問いかけると、七王さんは自分の着ているシャツを俺の前であられもなくめくり上げ、そして脱ぎ捨てた。
シャツから開放された肌が朝の光を浴び、夜とはまた違う爽やかな艶やかさを肌にまとわせている。色白の肌が光を帯びて、元々透きとおるような肌が本当に透けてしまいそうだと思った。

夜の暗闇で浮かび上がるような、なまめかしい白の折とはまた違う。時に夕顔の花のように儚げな白になる素肌が、今は輝きを帯びて純白に満ちている。
朝に夜に、その時々の感情を肌にのせて、色んなニュアンスの白を久遠に見せてくれる。七王の白肌は深い色を隠し持っている、久遠はそう思っていた。

そうしてあらためて見ると、首から始まり果ては足の爪先まで己が施した刻印が、肌を彩っていた。自分がやったことだが、こうして見ても派手にやったなと自分で思う。
もしかして、「やられた」とはこのことだろうか?
…いや、このマークをつけるのはもはや2人の間ではお決まりのことだ。今更違うだろう。

現に昨夜も、制止の声は一度もかかることはなかった。
…では何が?と思うと、久遠の頭の中に七王の姉、白羽家の実質女帝「君子様」が不意に浮かびあがった。
まさかその姉の趣味――所謂コスプレ撮影なるものに、支障をきたすとでもいうことだろうか?それならありえる話だろうか?

いつも七王さんは大抵露出の多い格好をさせられている(言葉に語弊があるか…この場合喜んで本人もしていると言うべきだろうか…)から、その撮影にともすればキスマークが写り込んでしまい不都合なのかもしれない。
…いや、けれどよく考えれば、それも最近の写真の補正技術は優れているので、撮影後すぐに七王の肌から久遠の痕跡を消すことは充分可能ではある。
それならば何が…?と久遠が1人頭に疑問符を躍らせていると、七王が「これこれ」と、自分の1点を指差した。

「それ…」
「そうそう」

ようやくそれを見て久遠は合点がいく。七王が指差した所に、久遠がつけた朱い痕とはまた違う跡が――肌がぷくりと盛り上がって赤く腫れていた。

「もー、何か無駄にあちこちかゆいぜ…ったく」
七王はそう言いながら、方々かゆい所を己の爪先でかく。見れば、その1点だけではなく他にも点々とかまれているようだった。
七王がかくにつれ、赤は徐々に深まっていく。

「…七王さん、無駄にかかないほうが良いです…かきすぎると血が出ますよ。かゆいのは分かりますが」
久遠はすかさず、七王の行動を止めにかかる。
「…ん、わかってっけど、かゆいからさー」
「何か、薬でも塗りましょうか。…あ、確か蚊の毒は45度以上の温度で分解されるはずです。タオルを濡らして45度になるまでレンジで温めてきますよ。それを肌の上にのせておけばいいです」
「…へぇ、そうなの?詳しいのなお前」
「…毎年、永遠がよく蚊にかまれますので、対処は慣れています」
「あはは、そっか。そう言えば如何にもお前の弟、蚊に好まれそうな感じ出してるもんな。俺が蚊でも狙うわ。元気で血が美味しそうだし、何より隙があるしさー。って、永久さんも大抵そうだよな(笑)」
七王がさも楽しそうにからからと笑う。

「…そういうアンタも普段隙だらけですよね」
「ええ!?んなことねーだろ。これはたまたま昨晩虫よけの器具つけるの忘れてただけで……と、そういやお前全然かまれてねーな。一緒にいたのに」
同じベッドで寄り添って寝ていたのに、相川は見た所何もなってないようだった。
「…アンタと違って俺は隙はありませんから」
「そうかよ…」
俺に比べたら自分は隙がなくて完璧ってか?何だよそれー、と一瞬口を尖らせると、相川の手が不意に俺に伸びてきた。
「…それに、俺が蚊でもアンタを選んで血を吸いますね」
そう言ってつつ…と、俺の肌の上を指先が意図的になぞる。

「…っ、」

思わず俺は何かを感じ、相川に気取られない程度に息を詰めた。
相川の醸し出す空気が、いつの間にか何処か変化している風に感じた。

「…あー。俺のためにホットタオルを作ってくれるんじゃなかったか…?」
「…………」

――何この沈黙、怖い。

相川の無言は、大抵何かを語っているからこそ余計に怖い。
俺も何かで見たことを今頃思いだした。
レンチンしたホットタオルをかまれた場所にのせると、一気にその痒みがひくとか何とか。そう、蚊の毒は45度で無毒化するのだ。
あまり強い方ではないのか、若干敏感肌気味なので薬をつけるのはどちらかと言うと好まない。薬によったら、肌が過敏に反応してしまう時があるからだ。
だから、温めるとかゆい成分が化学反応でたちどころに消えるその方法を推奨したかった。

…でも、何か相川の雰囲気がおかしくね…?

さっきと明らかに違う相川のその様子に、俺は先程脱ぎ捨てた傍のシャツをさりげなく掴み取った。ベッドの上でシャツをあけすけに脱ぎ去ったさっきの自分に、できることなら突っ込みたいと思った。

その間に相川の指先は、首、胸元、腰と、噛まれた部分を1つ1つ確かめるように辿っていく。なぞられた所が、他より敏感になり熱を持っているので、余計に始末が悪かった。

「…ッ、俺結構かまれてんのな。何か自覚すると一段とかゆくなる気がするから不思議だよな。これからもっと掻きむしりたくなる前に俺、ちょっと処置してくるわ」

そう相川の沈黙をスルーし、早々にシャツを羽織って部屋を出ようと思った瞬間、その手を掴まれた。相川の掌はしっかり力が籠っていた。
力強い切れ長の眼とかち合う。

「…っな、何だよ!?」
「…気が変わりました…」
「…は!?な、何の?」
…頼む、何かの間違いであってくれ。
「…処置なら、俺が後でちゃんとしてあげます。…だから、今はアンタは俺に身を任せてください」

耳に届いた言葉に、衝撃が走る。
まさかまさかと思っていたことが今ここで、はっきりと決定打になってしまったのをやっと理解した。

「――あ…っ!」

そのまま相川は俺を勢いよくベッドに引き倒した。
よく馴染んだ上質の感触が、全身を優しく受け止める。すかさず久遠は七王の上に当然と言わんばかりに乗り上げてきた。

「ちょ…っ、待っ…」
今の俺は裸で、何も遮るものがないから゛どうぞ触ってください˝と言わんばかりだ。おあつらえ向きの状況を作ったのは、正しく数分前の自分だった。

「…俺以外にこんなに跡をつけられて…アンタはどんなに傍にいても油断も隙もあったもんじゃありませんね…」
「なっ、何言ってんだよ…!たかが蚊にかまれたくらいで大袈裟にも程があるだろ!?」
不穏な空気を払拭するか如く、七王は少々強めに声を張り上げた。
「…アンタの身体に、俺以外のものが跡をつけたという事実には変わりないでしょう?…正直、俺はそれが気に食わないんです。だから、今ここできちんと上書きしておこうと思います」
「-はぁっ!?」

▶前提条件:相川久遠は白羽七王に自分以外が跡を残すのが我慢ならない(言語道断)
▶事実:ある日、白羽七王は蚊にかまれて跡が残った。
▶結果:よって、非常に気に食わない。以上。

そんな久遠の法則が一気に頭の中を駆け巡り、『これからまったり2人で朝食をとりたいな♡』と言う七王の僅かながらの希望を、完全に打ち砕いた。

「…か、勘弁してくれよ…」
七王はできる限り、久遠から後ずさろうと試みた。
広いキングサイズのベッド上だが、大の大人男2人が乗っている状況では、どんなに距離をとっても、畳一畳分くらいにしかならなかった。

「いいえ、俺は本気です…」
久遠の瞳に宿る一本気な気質が、特有の熱を持って輝く。
七王が空けた余剰分は、久遠の本気にいともたやすく0になった。あっという間に壁際に追い詰められて、またベッドに沈められる。

「あっ…ん、相…川ぁ…!」
久遠は朝飯前とばかりに、慣れたそぶりで七王の脚を開かせ、間に滑り込んだ。

体勢が整うと、もう待てないと言ったふうに久遠は早速跡にかぶりついてくる。

「…っ、や、噛むだけにしてくれよな…!」

一旦始まったら長い相川の相手をするのは、嬉しい反面、実に労力を伴う。
求められるのはもちろん凄く嬉しい、この上ない幸せを感じる。相川に必要とされている、欲されていると感じるだけで、心臓は幸福に息づく。

そして当然その気持ちに惚れ切った身として応えたいとは思うものの、ここの所連日…だったものだから、ここはとりあえずそれを次回に取っておきたいなと正直思った。
できれば自分がもっと元気な時に受け止めたい、今は体力を温存しておきたい。理想は万全の状態の時にできればBESTだが、当面はそれもできそうにない。

通説では、射精は1回につき100mを全力疾走するのと同じくらい体力を使うと言われている。ならば、その前後の行為を含めても相当な運動量になると言うわけだ。

元々甘味物をどんなに食べても太らない、人に羨ましがられるような体質の七王ではあるが、相川と一定の運動をしている限りはしっかり食べないとむしろ痩せるのではないか?と七王は変なことを思った。
…どうやらこの期に及んで、自分の頭が現実逃避しているようだ。

「…噛むだけ、ですか?」
「…ああ、そうだよ…っ!…まぁできれば噛むんじゃなくて、舐めるとか吸うだけにしてくれたらありがたいけど、それだけなんてお前には無理だろ…?」

伊達に今まで何度も相川に抱かれ続けていない。なので、そこは妥協する。
そう、単純に考えれば要は血を吸われた跡だけ相川が上からマーキングすれば良い話なのだ。もし相川がそれで満足してくれるのなら、の前提話ではあるが。それだけで気がすむのならば問題ない。
その間、自分は敏感に身体が反応しないよう頑張って感覚を自制すれば良い。

七王は最後まで行き着くことをできることなら回避したいと、久遠にそう提案した。正直、頭の中では九割九分無理であろうことは理解していた。―が、何であれ逃げ道が少しでもあるなら、明日の自分のためにも突破口を見つけたかった。

昨夜だって散々求められ、鳴かされ続けたのだ。
長時間の行為で駆使された喉や腰の痛みはとっくに慣れたとは言え、頻繁すぎてあちこち悲鳴を上げる身体を休めたいと思うのは、極自然な事だった。

「…さっき、お前も゛上書きしたい˝って言ってたじゃねぇか…?だから、その言葉通り上書きすれば良いんじゃね…?別に…俺はそれで構わねぇよ…」

七王は既に久遠にマウントポジションを取られているにも関わらず、この状況からまだ展開の余地があるかのようにそう選択権を口にした。

「……………」

無言の相川が醸し出す、沈黙に包まれた真意に緊張が走る。

「……ッ、」

そうして不意に久遠が七王の額から頬にかけて、ゆっくりと指で触れてきた。久遠の指が、七王の肌に沿わせるようにじっくりと、あくまでもゆるやかになぞられる。

速さ、遅さ、力加減、その動き。
久遠の感情が吐露されるのは、表情や言葉、沈黙だけではない。身体のどの部位に久遠が触れても、七王はその触れ方が何を語っているのか、はっきりとではないにしろ心なしか察せられた。

「…ぁ、相川……」

触れられると、擦られすぎて熱を持ったように腫れぼったくなった後孔が、記憶にひきずられ不意に疼く。
呼吸をするようにそれは無意識で、自然だった。

Nº 9: Guilty pleasure
Nº 9: Guilty pleasure / elizaIO


「…う、あ…ッ、く…っん、ぅ…ッ」

押し殺そうとして失敗した口から、七王の声がなまめかしく漏れ出る。
久遠の牙は今まさに七王の肌に突き立てられていた。自分以外のものが触れた箇所を丹念になぞってはその在りかを確かめ、赤みを帯びた膨らみをかじっていく。

「…あぁ…っく、…ンッ」

未だ多少のかゆみを発しているそこをそんな風にされると、気持ちよさと痛さが入り混じてどうしても声が抑えられない。次いでそこを更に盛り上げるようにぐるりと指で円を描かれると、七王は…んんっと思わず喉を震わせた。
適度な刺激、どころではない。
ただでさえ過敏になっている場所を弄ばれると、それこそひとたまりもなかった。
とどめに、膨らみごと甘噛みしながら強く吸われると、もう駄目だとばかりに七王は白い首を仰け反らせた。とっさに指先を噛むことで、それを何とか耐える。

…もうこれ以上、肌をざわつかせないで欲しい。
一旦身体の奥に火が灯ってしまうと、それを消すのは至難の業だ。燃え上がってすぐに全身に広がる。そうなると久遠に突かれたくてたまらなくなる。それもすぐそこに、あるのだから、余計にだ。
まだかろうじて芯が完全に反応しきってはいないのがせめてもの救いだろうか――むろん既にむずむずはしているが…。

「…アンタはたまに時々、強情ですね…。まぁそんな所も可愛いですが…」

七王の肌を変わらずかじりながら、久遠はそうのたまった。
すこぶる快楽に弱い身体と性質を持っていながら、まだ寸での所で自分を回避しようとしている。このまま流されてしまえば楽なのに、それを良しとしない。
今の久遠には七王を堕とすことなど赤子の手をひねるより簡単だと言うのに、だ。
だからそんな些細な彼の抵抗が尚更可愛いなと久遠は思った。

…ふ、と笑みを1つ七王の肌上で久遠が零すと、その息遣いにさえ七王は反応して「…ッ、」と息を詰める。
もう七王は久遠の掌の中で完全に踊らされるだけの存在だった。

「…ッ、あ、相川…っ」

胸骨のラインを確かめるように指が辿り、引き締まった細い腰までなぞると、柔らかな絹がするりと滑り落ちるような感触が久遠の手に広がる。その肌の滑らかさは、いくら抱き締めても抱き締める傍からすぐに滑りぬけていきそうな儚さと、きめ細かさを久遠に伝えるのだった。

…そうかと思うと、時に、吸い付いて来るように久遠の手に寄り添ってくる。初めて触れたその時から、手に馴染むその滑らかさは、いつも久遠を惹きつけてやまなかった。

逃がさない、と久遠は思う。
組み敷いて腕の中に閉じ込め、全て覆い尽くすように何度触れても、頭の先から指の先まで抜けるように白い艶やかな裸体は、甘やかに誘うばかりで。触れた先から、次から次へと「足りない」と渇望が湧き起こる。
その身体は何度抱いても、何度触れても、久遠の望む安心を与えてはくれなかった。

この人は身も心も、完全に自分のものだ。自分だけのものなんだ、と実感して心から安心したい。そうすれば七王さんを手にしてから初めて、ほっとできるような気がする…。
いつも七王さんのことが心配でたまらないから、傍にいない時は彼の事が常に気にかかる。自分の知らない所で何かあったらと思うと気が気ではない。

そして厄介なことに七王さんは魅力的すぎて、本人の意志なく無自覚に誰もかれも惹きつけてしまう特性の持ち主だ。彼がただそこにいるだけで、周囲の者は注目し、色めきざわめくのだ。そんな彼と付き合い、真の平穏が訪れる状況などきっと完全に外界と遮断して監禁するしかないのだろう。

……そうだ、監禁したい……。

「…っ、痛い…!相川ぁ…!」

そんな物騒な事を1人考えていると、七王さんの声で我に返る。
気が付くと、俺は彼の肌を半ば噛み千切りそうな勢いで牙を立てていた。
白い肌に紫色の歯型が痛々しくくっきりと刻まれている。彼の掛け声がなければ、間違いなく後1,2秒で鮮やかな血が噴き出していただろう。
もっとも、鮮血もこの肌にはひどく似合いそそられるのだが…。

久遠の力が解かれ、ほっと七王は胸を撫で下ろす。痛いのは嫌いではないが(むしろ好きかもしれない…)やはり加減はして欲しい。毎回血を見るようになるのは勘弁願いたい。
七王のそんな思いをよそに、久遠は久遠で「そういえば最近七王さんが痛がったり、哀願する声がやけに心地よく耳に馴染むようになってきたな…」などと、とんでもないことを思っていた。

「…………」

特に詫びるでもなく、久遠は無言で再び七王の肌に触れると、また目的を再開させる。ねっとりと自分以外が触れた朱く腫れた部分に舌を這わせ、殊更そこを執拗に愛撫するのだった。

数で言うとそんなにはない、と七王は思っているのだが、久遠に言わせると吸われ過ぎだと思った。
首に1つ、胸に2つ、それと腰。おまけにきわどい脚の間にまで1つ、ご丁寧にある。どんな寝方をしたらこんな吸われ方をするのだと久遠は不思議でならなかった。

旅で泊まった時、浴衣で寝ると七王さんは何故か不自然なほどに着衣が肌蹴てしまう。その上布団もほぼかぶっていないときた。そんな状態ならば、蚊も容易い仕事なのだろう。
今はきちんとボタンを止めた状態のシャツで、寝ている。(※久遠が風邪を引くと、ちゃんとした格好で寝るよう躾たのもある)
ただ、当たり前のように下もはかずシャツを軽く羽織っただけというのが定番で、隣の久遠の脚の間に絡ませてくるから、久遠にとっては実に罪作りな格好には変わりないのだが…。

――ならば考えられる事は1つ。

七王さんの食欲をそそる肌と熱に吸い寄せられた蚊が、布団やシャツの隙間をかいくぐり、わざわざ彼の肌を物色したと言う事だ。探っていくと、布の中から雪のような白い肌が現れる。その下に眠る美味しそうな彼の血を、最も吸える順に探り当てていったのだろう。

危なっかしい…。

そんなものまで、無尽蔵に惹きよせて何てこの人は危ういのか。何でも虜にして惹きよせれば良いというものではない。それでは困る。そう思うと、チリっと常駐の独占欲が久遠の胸を締め付けた。
今や七王に世界一惚れぬいている男は、そんなどうかしすぎていることを何の疑問もなく自ずと思うのであった。

帝に言わせると、完全に頭がいかれて正気の沙汰ではないと毒舌を放ちまくる所だろう。ただし七王に惚れている時点で、もう手遅れで手の打ちようがないと彼は言うだろうが…。
(帝は帝で、愛する恋人に対して既に頭がお花畑状態になっているが…)

「っ相…川ぁ…!」

もう勘弁してくれと音を上げる七王が、涙目で肌をまさぐる久遠の肩に額をこすりつける。愛らしい仕草だった。
七王の乳首を淡々と指先で弾き、仏頂面に凄みをかけている久遠は、縋ってきたその額にさえ噛みつきたい衝動に駆られていた。

「ン…あ…っ!」

不意に久遠は七王自身へと手を這わせる。既に熱を燻らせていたそこは、すぐに久遠の手によって卑猥な進化を遂げていく…。
直線にすっと指を何度か動かされるだけで、そこは期待に脈動する。筋張った大きな手にすっぽりと包まれ、くま無く上下にしごかれると、陰茎はたちまち直立していくのだった。
隠しきれない興奮は久遠の掌で思い通りに育ち、その手を先走りで濡らしていく…。先端から溢れ出たそれは陰嚢を通り、やがて七王の最奥へと伝うのだった。
その流れを追って、久遠が七王の脚の間に顔を寄せる。

「…っあ!…あ、ふ…うッ、」

尿道口をぐちぐちと久遠が親指で刺激すれば、カウパー液がまた排出される。
透明の液はぬめりを帯び、テラテラと七王の性器をいやらしく包んだ。眼前でその様子を見、久遠はこみ上げるものに「…ッ、」と一瞬息を詰め、それから僅かな熱い溜息で発した。

もう、ここに押し入りたい…。

久遠は七王の菊座をそっと指先で愛おし気に撫でる。そこは先走りのぬめりにひたされて、妖しい秘密のベールに包まれているようだった。
柔らかな心地いい弾力を与えてくれるその中に、一刻も早く覆われたいと、己が痛いほど疼く。

「―あ、あ…ァんッ、相川…ア!」

久遠は目の前の七王自身を突如ぱくりと咥え、カリの境目を舌先で軽くなぞってから深く奥へと招き入れた。
滲み出た七王の体液は、久遠の舌先で涙のような味がした。

「…あっ、あ、やぅ、…っン!…は、あア…」

久遠の咥内はあたたかく七王をくるみ、その気持ちよさに七王は震える。決して性急に追い詰めるのではなく、七王をゆるゆると口淫する器用な舌先が、裏筋をゆっくりこする。

「っ…う、ああ…、あ、は…ぁ…っ」

そうされると、背筋から腰にとろけるような快感が押し寄せてきて、七王はなすすべもなく身悶える。

まだ多少久遠にこうされることに、抵抗感がないわけではない。
自分が同じ事をするのは全然かまわない。
むしろ積極的にあの長大な美味いブツを咥えに行きたいとさえ思う。餌を与えられた魚のように、がっつきたい。口にしている間は、幸せで興奮するし、育っていくそれが愛しくて嬉しくて自分もすげぇ感じる。

だが相川にされるのは、何とも言えない羞恥と若干の申し訳ない気持ち(それでも前よりは大分)がいまだ心に広がる。
きっと相川が知ったら叱られるだろうから黙ってるけど、こうされるのが極自然な事だと、思える日がいつか来るだろうか…。

「…っんん……ッ、あ、相川…っ」

そんな七王の思いをよそに、久遠は七王の陰嚢を空いている手で刺激する。久遠の指全体がやわやわとそこを押し包んでは肉を優しくほぐし、最後に持ち上げるようにぐっと圧迫されると、身体の中心をきり揉みされるような快感が下半身に走った。

「っやああ…っ!あっあっ」

射精しそうな感覚が一気に押し寄せてきて、七王はまだ早いと内心焦る。
久遠の口中に迎え入れられて少しも経っていないのにイってしまうのは勿体ないし、早すぎるのも恥ずかしいと思った。七王はとっさに縋るように自分の脚の間にある、久遠の頭に指を掻き入れた。

少し硬質で、しっかりした髪の感触が相川らしいといつも思う、大好きな感触…。
こんな所まで好きでたまらない…。

七王は無意識のうちに、透明の粒を瞳からぽろぽろと零す。

相川…相川…。もっと、俺に触れて…。全部俺を溶かして…。

七王の頭にはさっきまでの考えなど、もはや欠片もなかった。夢中で久遠の髪を引き寄せ、掻き乱す。

「…………」

久遠は口と舌を動かしながらも、片手を先程からひくついている七王の最奥へと伸ばす。入口のひだを人差し指でぐるりと撫で回すと、先を期待して乞うようにそこは増々いやらしくひくついた。
侵入すると、そこは指を押し込まれたと言うよりは、呑み込んだと言う風な体で喜んで指を食む。難なく第二関節まで差し込むと、久遠は間を置かず中指も滑り込むように人差し指に伴った。
それでも充分な余裕があると指から伝わってきて、慣らす作業もただ入る確認をする形ばかりのものとなった。

「っァ、ぁん…ッ、ふゥ、あ、あ…っ」

並行して久遠の口が、浅く深く七王自身を擦り上げる。弱い箇所を同時に攻めたてられては、ひとたまりもない。舌で舐めまわされ、吸い尽くすように頬張られると、高みに押し上げられる他なかった。
最中、口から斜めに含まれたかと思うと上下の奥歯の間で挟まれ、まるで歯磨きをするようにフェラをされると、脈を打って震える頻度が更に加速した。

「あっ相川…ァ、相川…っ」

どんなに頭を振っても逃れようがない快楽に、七王は整った足先をきゅっと丸め久遠の名を一心に呼ぶ。
久遠の歯の巧みな圧力に、奥で当たる頬肉の内粘膜の感触が、七王の欲望をダイレクトに刺激し、全神経をそこに持っていかれる。
それからとどめとばかりに、久遠の長い2指が最奥で出し入れを速めたものだから、限界はあっけなかった。

「…――ああぁ……ッ!」

七王の背筋から足先まで、ビリッと電流のような震えが一直線に走った。
七王は久遠の口内で射精し、挿入された久遠の指を強く締め付けた。
ねっとりと執拗を極めている愛撫は、今日も七王のリミットを容易く振り切ったのだった。

「…ッあ、はぁっ…はァ…っ、はぁ…ッ、」
「……ん、…」

乱れた息遣いと、久遠が喉を上下させごくりと飲み干した音が室内に響く。最後の一滴まで逃すまいと、グラスを傾けるように一気に喉へ煽ると、久遠の舌先に特有の苦い後味が広がった。
これも愛おしい彼のものだと思うと、何の抵抗感もない。むしろ二度三度と、また立て続けに含味したかった。

「んあ…っ!」

それから最後の箇所へ所有の証を残すべく、久遠は内股の朱に強く吸い付いた。
不意打ちでがっつくように貪られた瞬間、七王の脚がビクリと震える。距離が近すぎるだけに直結して、七王自身も同じよう身震いするのだった。

「―ひ、んやァっ…」

続けざまに脚の付け根のラインを、久遠が舌先でなぞるようにゆっくりと一舐めしてくる。V字の窪みはひどく敏感で、七王は予想外な箇所の愛撫に目を見開き、一瞬硬直する。そうすると七王はけしかけられた欲に耐えられず、「やぁ…っ、も、早く…!」と、身も世もなくすすり泣いた。
久遠の指が内部に入れっぱなしになっているのも相まって、出口のない熱が燻ってもうどうしようもなかった。

「…七王さん…」

充分ほぐした蠢く内部から指を引き抜き、とうに臨戦態勢になった自身を取り出す。
白皙の裸身の最奥――熱くうねるそこが自分を求めている…。
久遠は七王のほっそりとした長い脚を抱えて大きく開かせると、先端を奥へ目がけて潜り込ませた。

「―あっ、あ、あ…ぁんっ、」

進む度に満足げな吐息を吐きながら、七王が艶やかに声帯を震わせる。待ちわびていたそこは、すぶぶぶ…っと淫らに滑らかに入るばかりだった。

奥へ馴染むのを待たず、久遠は早速とばかりに腰を動かしていく。
優しくしても、乱暴にしても、結局は七王は感じて最後はいつも久遠をめいいっぱい呑み込む。その上無意識に絶妙な加減で久遠を締め付けるものだから、久遠は煽られてとかく成長しそうになるのだった。

むろん目の前に見える七王の痴態そのものにも、焚きつけられて仕方ないのだが…。

「…ッ」

擦り上げる度に、七王の粘膜の心地良さは増していくから、本当にいやらしい身体だと思う。精を搾り取るために、備わっているのだと本気で思ってしまう程に、そこは久遠の性器に絡みついてくる。
気持ちいいと美しい顔が多彩な陶酔の色を見せるのも、また動きが早くなる要因だった。

「――…くっ…」

カリの太い部分が押し広げる必要もなく内壁がたわみ、そのくせしっかり包んでくるという刺激を見事に織りなすものだから、思わず久遠も持っていかれまいと息を詰める。
こめかみに力を入れ、眉根を寄せてこちらも負けじと一点を突きにいく。

ついでに目に入った白い喉元へ、欲望のままにかじり付いた。
触れた瞬間、舌先に走る震えを感じ、愛おしさに久遠の胸がぎゅうと締め付けられる。

「あ、ァあ…っ、そこ…っ、やぁ…んっ、」

七王の中心が呼応して、先走りを大量に吐き出す。
前立腺をぐっと先端で突き、それからごりごりとこねるようにわざとそこを攻めると、七王の瞳から涙が似たように多く零れ出ていった。
腹側に位置する弱点のしこりを一旦捕らえてしまえば、もはや主導権は全て久遠のものになる。
やりすぎると、自身で持て余すほど感じ過ぎて恥ずかしいと、まだ若干の羞恥を見せる愛しい恋人を、何度でもこうして暴きたいと思う。限界値まで快感をひき出して、アンタを決壊させたい…。

どんなアンタでも俺には愛おしいのだと、何度でもアンタに繰り返し伝えたい。
こうして己を幾度も刻み付けたい…。
俺だけに抱かれ、愛されるのが自然であるべき姿なのだと、心の奥にしっかり根付かせたいのだ…。
身体の隅々まで俺だけでアンタを満たして、俺と言う存在で心も身体もいっぱいになればいい…。

言葉で伝えても分からないなら、身体で。身体で伝えても分からないなら、言葉で。何度でもそうしてアンタに伝えたい。ほんの少しもアンタが不安を感じることがないように、俺の気持ちを完全に理解できるように、俺がアンタの中を埋め尽くしたい…。

肉体の繋がり以上に、2人の隙間を埋めたいと、常にそんな欲求が自分の中でとぐろを巻く。底なしの感情は、仄暗いものをいつも秘めていて、俺をいつも激しく突き動かす。

「あぁ、やっ、ァ相川…あい、かわ…ぁ…!」

速まる抽送に、細く綺麗な手が、久遠の端正に盛り上がった背の筋肉に縋りついてくる。急速に膨らんでいく欲は、巡る血液と一緒に駆け抜けて頭を痺れさせる。
七王の全身が、文字通り朱に染まる。
シーツに乱れる髪の1本にさえも、普段は見られない快楽の色が、しっとりと浮かんでいた。

「ッ、ああぁ……っ!」
「…く……っ!」

久遠のたくましい腹筋に擦られていた七王の欲が、瞬時に弾ける。同時に、久遠も七王の中で昇りつめ、欲を解き放った。
最も奥で久遠は果て、欲液は深部に浸食する。きつく、柔く、己を抱き込む内壁に久遠は痺れるような陶酔を味わった。

誰かと一つに混ざり合うことが、こんなにも幸せで甘美な事だとは知らなかった……――。

恍惚感に半ば口を開いて、「…ぁ…っ、あ…ァ」と声帯を振動させる七王が、ぞくっとさせるような壮絶な色香を匂わせる。普段から容姿にこぼれるような艶めかしさを持っている七王は、また誘うようにちらちらと赤い舌を覗かせ、あえかな喉元を晒した。

「七王さん……」

惹き込まれるように、呼吸が整わずまだ喘いでいるその口に、久遠は貪欲に食らい付く。
自分の傍らに繋ぎとめたつもりで、捕らわれたのは、果たしてどちらだったのか――。

「…んっ、ぅ、ッン、…ふ…ッ、ま、待…てっ、相…ンッ」

戸惑う七王の吐息も何もかも奪う勢いで、久遠は七王を貪り尽くす。
甘だるく溶けそうになる身体を一層ぐずぐずに溶かしきるべく、久遠は七王の身に深く沈んでいくのだった――。



19273502_p110.jpg


関連記事

拍手、頂けましたらとても励みになります♡byくーなな⇒ 
*    *    *

Information



【商業BLコミックランキング】
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。