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無慈悲なくーなな

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□ 最上級の祝福を □

その一日に最上級の祝福を-12-

短すぎるほど短いです。
そしてまた進んでいないという。。。
同じ事ばっかり書いてる気がする
(気がするじゃなくて、絶対そう(・。・;)
でもしつこくめげずに書いていきます。
いつも読んで頂いてる皆様、本当にありがとうございます!
 
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Silver Grass / naitokz

【 その一日に最上級の祝福を-12- 】


 カフェを出た後、予定通り俺は相川と買い物に向かった。
 別荘地の中にそんなに大きくはないもののスーパーもあるので、簡単に必要なものを買うことができた。
 一緒にお店に入り、かごの中に目的のものを入れていく相川の隣にいると、不意に同棲している恋人同士のように思えてきて、何だか俺はくすぐったかった。

 一緒に住めたらさぞかし幸せだろうな、と思う。
 朝のおはようから始まって夜のおやすみまで、生活の中に時間に、いつも相川が傍にいる。
 傍にいて同じ空間で過ごして、その内俺自身も時と共に相川の生活の一部になっていく。そうなったらどんなに幸せか。
 夢のまた夢だけど、妄想する分には自由だしと俺は相川の隣で時折そんな夢に浸る。こんな単なる妄想だけでも、俺を幸せにしてくれる相川は凄い。
 つきあってくれてるだけで充分なのに(こんな事を思っていたら相川にまた怒られるんだろうが)どこまでも欲張りになってしまいそうな自分に、俺はそこで思考を打ち切りにした。

 「結構買いこんだけど、こんなもん?」  
 「ええ、これで大丈夫です」 
 「お前の料理すげー楽しみだけど、本当に良いのか?こんなにしてもらって。何なら俺も手伝うけど…」

 今だって、ケーキ以外買ったものは全部相川が持ってくれている。
 せめて、この小旅行に付き合ってくれたねぎらいの気持ちで軽く相川に何かしてやりたかった。

「何言ってるんですか。今日はアンタが主役なんですから、アンタはゆっくりくつろいで待っててください」
「そりゃそうだけど、軽いデザートくらいお前に作ってやろうかなって」
「大丈夫ですから。それも俺に任せてください。アンタは余計な気を使わなくても良いんですよ」
「そうかー?」
「ええ」

 会話のキャッチボールはそこで一旦休止する。

 まぁさっき西園寺さんからもらったケーキもあるしな…。
 デザートに関しては困ることはないから、俺が張り切って作ることもないか。
 そう思い、相川に全部任せることにした。

 やっぱり俺は年上だし何から何まで任せるのは、と相川からしたら余計なことが出てきてしまうのは、もう癖みたいなものだ。…特に相手が相川だし。
 けど、そこをあえて相手に全面的に任せるってことが、俗に言う『甘える』ってことなんだろうなぁ…と俺なりに思う。未だに家族以外には、まだまだ甘える事は下手なのだ。

 変な言い方だが、俺はまだ甘えの学びに関してはー初心者、1年生だと思う。
 日々学習してはいっているものの、馴れ馴れしく振る舞うことはできても、何の遠慮もなく相手の好意や親切があることを前提に、勝手気ままに振る舞うことはまだまだ不得手だ。
 つまりは、全面的に相手の懐に飛び込むことができないでいる。

 自分でも「らしくない」と思う、20年以上生きてきてあまりしていなかったことを実行するには、毎回照れくささと背中に走るむず痒さは隠せないのだ。


 歩いていると、ススキの波が秋風に穂を揺らす。
 秋の陽光に照らされて銀色に輝き、爽やかな風に揺らされてかすかな音を立てる。
 ススキが奏でる音に耳をすませ、穏やかな優しい風に相川と包まれる。
 彼の褐色の髪が風に流され、毛先がそよぐのを間近で見る。 風で泳ぐ毛先が、ススキと同じように光を孕んでいた。

 …良いなぁ、と思う。この瞬間が。

 俺がもだもだ余計なことを考えている内に、貴重な時間はどんどん過ぎ去って行く。そんないつでも考えられるようなことはとりあえず脇に置いておいて、今この瞬間を大切にしなければ。
 せっかく相川といられるんだ。相川と過ごせる誕生日なんだ。
 相川を実感したい。いつもよりもっともっと。

 自然豊かな、都会では目にかかれない光景を満喫して、そこで相川と同じ時間を過ごす。
 目で、耳で、唇で、肌で、感知できる感覚全てで、全身で今は相川を憶えて感じたかった。相川の周りに漂うその空気さえ、噛みしめて全部感じていたい。
 今日は俺の視線で穴が空くんじゃないかってくらい、遠慮なく相川を見ていたかった。

 スーパーの袋を持つ、男らしい大きな手。
 引き締まった筋肉質の、手から腕にかけての血管の浮き上がり。
 しっかりとした手首。爪の形から、関節の骨ばった部分、指の長さ。

 女性には手フェチが多いと言うが、相川の手はきっとそういう趣向の人の好みにはどんぴしゃりだと思う。
 男らしく守ってくれそうでありながら、男性的なセクシーな要素を兼ね備えている(※手だけに限ったことではないが)かっこいい綺麗な手だ。

 これからその手が料理を作っている所を見れる。
 そして今夜また、この手に愛されるのか…。
 そう思うと、背筋の奥からぞくりと駆け上がるものがあった。触れられる所を想像するだけで、肌がざわめく。

 …料理、してる間に我慢できなくなって襲わねぇようにしねぇと…。

 包丁を器用に扱い、料理器具を持ち、食器に料理を装う。
 その姿を見ているだけで、余裕で理性が焼け切れそうな飢えた自分を七王は自覚した。

 ―楽しみだなぁ。

 七王は気持ちと同様に、上を仰ぐ。
 そんなに標高が高くない山と言う事もあって、気持ち少しだけ紅葉している山の中、七王は色づき始めた周りの木々のようにほんのり目元を朱くした。

 …-あ、でもその前に西園寺さんが来る。

 七王は先程約束したことを思い出し、また1つ楽しみが増えたと、持っているケーキの紙袋を僅かに鳴らした。

 久遠はその横で1人思っていた。

 ー西園寺さんとまた会う。
 
 七王さんの手前、約束したことだし仕方ないがやはり気が進まない…と。
 あの人は、今でも七王さんを大事に思っている。そして、何故か何処か油断ならないような気がする。…俺の気のせいかもしれないが。
 
 互いの思惑は別々のまま、時は確実に秋を刻み、深みを増していった。


 《続く→》

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